なかなか赤ちゃんができなくて病院に行くと、卵管の閉塞や狭窄と診断されてがっかりしている人もいるかもしれません。実際に不妊で卵管に問題があるという人は実に3割もいると言われています。そんな卵管の問題が不妊の原因となっている人に朗報です。卵管が狭くなっているなどの通過障害の場合、多くは体外受精の道を勧められるはずです。しかし、卵管の通過性を改善し、自然妊娠の確率を高める治療があるのです。それが「卵管鏡下卵管形成術」。この術式は妊娠するためには体外受精しかないと諦めていた人から大変注目を集めています。そこで、卵管鏡下卵管形成術の詳細についてご紹介しましょう。
卵管鏡下卵管形成って何?
卵管閉塞や卵管狭窄を改善するために用いられる術式です。方法はまずカテーテルを膣から卵管に挿入し、卵管にカテーテルの先のバルーンと呼ばれる風船のようなものを入れます。そこでバルーンを膨らませることで卵管を広げます。術後、卵管造影を行い、卵管の詰まりが解消されたかを確認して終わりです。ほとんどの病院では入院の必要はなく、日帰りできます。
痛みは?
術式だけを見ると簡単ですぐに終わりそうに見えますが、やはり気になるのは痛みですね。卵管造影検査の痛みをご存知の方なら、きっとそれ以上に痛いに違いないと思われるかもしれませんね。しかし、これは全身麻酔、または局所麻酔をしたうえで行われるため、眠っている間に終わってしまうので痛みはありません。
術後1年以内の妊娠率は?
卵管鏡下卵管形成術を受けて1年以内に妊娠する確率は、ナント30~40%。そしてこれは体外受精と同じくらいの確率だといえるのです。卵管が詰まっていただけで他に異常がなければその通りをよくするだけで妊娠の確率がグッとあがるというわけです。しかも、あるデータでは術後3ヵ月から半年以内に妊娠する確率が一番高いというのですからなおさら期待が高まります。さらには、卵管の詰まりだけではなく、原因がわからない不妊にも期待できるというのです。実はいろいろな検査をして原因が判明しなくても見えないところで卵管に問題を抱えている人も意外に多く、それがこの手術を受けることで解決することもあるのです。
卵管鏡下卵管形成術のメリット
体外受精は1回数十万円もかかるため経済的なことを考えて躊躇する人も多いようですが、この術式も保険が適用できるものの片側で11万円から14万円。両側でも21万円から35万円ほどかかります。これだけ見ると体外受精ほどではないけれど結構高いと思われるかもしれませんが、実は「高度療養費制度」の対象になっている卵管鏡下卵管形成術は、自分の地域の自治体に申請することでお金が戻ってきます。戻ってくる金額については所得で変わってきますが、半分以下になることは間違いないようです。詳しく知りたい場合は役所に確認してみるとよいでしょう。さらには、民間の医療保険などの対象になっていることもあるので。こちらも確認が必要です。
注意点
やはりメリットが多い分、注意することもいくつかあります。
・稀に術後に腹痛、出血、発熱がある
・全身麻酔の場合も吐き気や頭痛がある
・必ず卵管が通るわけではない
・再発の可能性が高い
不妊治療の1つとして、卵管鏡下卵管形成術のメリット、デメリットをきちんと理解したうえで自分たちに合うかどうかじっくりと検討しましょう。