不妊や流産を招く「黄体機能不全」とは!?

不妊や流産の原因は様々であり、個人差があるうえ、いくつかの要因が複雑に重なっているケースも少なくありません。その要因の1つとして考えられるのが「黄体機能不全」です。あまり聞きなれない名前で知名度は低いと言えるかもしれませんが、これから妊活する人には是非知っておいていただきたい病気です。いつもと違う自覚症状もありますので、それらも合わせてどのような病気なのか詳しくご紹介しましょう。

黄体機能不全って何?

まず、黄体とは黄体ホルモンであるプロゲステロンを分泌する器官のことです。ですから、黄体機能不全とはこの黄体の機能が低下することでプロゲステロンがうまく分泌されなくなるというわけです。女性の身体は卵胞ホルモンである「エストロゲン」と黄体ホルモンである「プロゲステロン」の2つ分泌量を調整しながらコントロールされています。エストロゲンは主に女性らしさを作る作用、そして妊娠に大きく影響するのがプロゲステロンです。受精卵を着床しやすくしたり、妊娠の継続を促進したり、基礎体温を高め、子宮内膜を厚くします。けれども、黄体が機能しないことで分泌量が減ってしまうと、生理周期を正常に保てなくなり、妊娠にも悪影響を及ぼすのです。

原因は?

原因ははっきりとはわかっていません。今のところ次の2つの要因が考えられます。

・不妊治療

不妊治療では採卵時に卵巣を刺激します。その際に使われるHMG製剤やGnRHアゴニストなどの薬が実は黄体機能不全を招くこともあるのです。これらの薬を使用すると卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの分泌が抑制されてしまうことが原因です。ですから、不妊治療の際には黄体ホルモンによる治療も同時に行われます。

・高プロラクチン血症

出産に向けて脳下垂体から分泌されるホルモン「プロラクチン」。母乳を出しやすくするため乳腺を発達させたり、子宮の収縮を促進する作用を持ちます。また、産後の体力回復にも欠かせないホルモンです。高プロラクチン血症はこのホルモンの血中濃度が高くなる疾患で排卵を抑制したり、生殖機能に影響を及ぼすとも言われています。そのため、月経異常や黄体機能不全、さらには重度の場合は無月経になることもあります。

主な自覚症状は?

・生理不順

生理は妊娠しなかった時、子宮内膜が剥がれ落ちる現象です。しかし、黄体の機能が低下すると基礎体温が高温を保てず黄体期と呼ばれる期間が短くなってしまいます。そうなるときちんと低温と高温を繰り返すことができず、排卵がバラつき、結局は妊娠しにくくなってしまうのです。当然ですが生理も不順になります。

・不妊症

せっかく受精しても子宮内膜が十分な厚さになっていければ受精卵が着床しづらくなります。そして、これが不妊症の原因になってしまうかもしれません。さらにたとえ着床しても子宮内膜がはがれやすい状態であることから不育症を招くケースもあるようです。

・不正出血

子宮内膜がはがれやすい状態であることから、生理に関係なく出血することがあります。生理以外の時に頻繁に不正出血が見られる時は黄体機能不全だけではなく、様々な子宮や卵巣の異常が考えられますので早めに婦人科を受診しましょう。

治療できるの?

黄体機能不全は適切な治療を行うことで改善できます。方法は以下の通りです。

・黄体補充療法

黄体期にHCG製剤を投与して黄体を刺激します。これにより、プロゲステロンの分泌を促進することができます。

・排卵誘発法

排卵を促すため、生理が始まったら排卵誘発剤を使用します。

・ドーパミン作動薬

原因が高プロラクチン血症の場合はドーパミン作動薬を投与します。一旦薬を止めてプロラクチンが正常値になれば経過を観察します。

黄体機能不全は治療すれば改善できます。もし、基礎体温の動きが異常だったり、生理不順、不正出血などの自覚症状が見られた場合は早めに病院を受診しましょう。